言の葉の書き上げ

書き上げました

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

月本十色「2085年の百合プロジェクト」めちゃめちゃよかった

SFマガジン2021年2月号百合特集2021の「2085年の百合プロジェクト」めちゃめちゃ楽しかったです。 長谷敏司『BEATLESS』は既読でアナログハックのことも知っており、そして百合がある種の「脆弱性」を突いてくることを自分で意識しているのを踏まえて、それ…

木澤佐登志最高!一番好きな志です(新連載第1回を読みました)

言いたいことタイトルで終わった SFマガジンの新連載「さようなら、世界 〈外部〉への遁走論」第1回を読みました。 木澤佐登志の論考は広範な知識の中に邪悪なオタク趣味と時代批判の倫理的な意識が混在していて、そこにたまらない魅力を感じる。『ダークウ…

ビカビカ光る無意味

この世のものは基本全て無意味なのだけど、そのなかでところどころにビカビカ光っている無意味があって、それを渡り歩きながらどうにか情報を代謝して生きている。「ビカビカ光る無意味」というのは意味があるということではない。無意味さの問題は私の側に…

さっき口に入れた煮干し前後両方尻尾じゃなかった?

と思って噛む前に口から取り出してみたら頭が取れて尖っているだけだった。当然。

浅野いにお「虹ヶ原ホログラフ」を読みました

単巻の漫画。 “「虹ヶ原」という土地を舞台に、小学校の同級生たちの過去と今が交差する――。 子どもたちのうわさ、トンネルの中の怪物、家族の秘密、蝶の異常発生……あらゆる糸が絡み合い織り成す、新世紀黙示録。” 帯の紹介文より ニッポン戦後サブカルチャ…

須藤佑実「夢の端々」感想

上下巻の百合漫画。 “時代に許されなかった女性同士の恋と人生を令和から戦後まで遡って辿るドラマチック一代記!”(帯の紹介文より) すごくよかったです。 こんな巨大な作品を描く意志、そこにこの遡る形式を選んだことが、もうとんでもない。 あと、貴代子…

暗い町並みに軽いキャラ、繰り返し百合SF「コーヒームーン」(牡丹もちと)について

牡丹もちと「コーヒームーン」既刊は2巻。 3巻で一旦完結とのこと。 雨の降り続ける西洋風の暗い町、主人公のピエタは自分の誕生日の1日を何度も繰り返していた。ピエタ以外にその記憶を持つものはいなかったのが、親友の駄苗がなぜか記憶を持ち越してきて…

頭がいっぱいいっぱいで何も手につかないときについて

頭がいっぱいいっぱいで何も手につかない。 私の鬱はそんな感じだった。やるべきことはわかっているのに、いくら考えてもどうしてもそれを実行に移すことができない。生活が疎かになっていくけれど、どうしようもない。 今でもそんな状態にはちょくちょくな…

虚無からの肉声 ――AIきりたんがかわいいという話

(ボカロどころか音楽そのものもほとんど聞かない人間によるゴミたいな個人的結論なので期待しないように) AIきりたんの「キリトリセン」を思い出す度に何回も聞いている。 https://nico.ms/sm36399511?ref=other_cap_off 人間に近いことの凄さは置いといて、…

裏世界ピクニック5 感想

宮澤伊織『裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル』を読みました。面白かったので思ったことを書きます。ジュニア版も確認できたので、それも含めて。例によって作品外の無関係な話が多いですが。 ・怪異と隣り合わせの日常の中で、二人が距離感を捉え直してい…

日記(限りある命で豊かな人生送れは全て詐欺です)

タイトルはレターパックを見かけてなんとなく。Twitterを控えている禁断症状が出ている気がする。Twitterやめて健康になったかといえば、この1週間は前半から感情が死んでいた。もしかするとTwitterから意外にも何らかのやすらぎを受け取っていたのかもしれ…

日記(百合のニンダイにソワソワしてたら冷鳩三匹飛んだ)

百合のニンテンドーダイレクトというのはこれです。ニンテンドーダイレクトっぽくないですか。ニンテンドーではない。 https://www.hayakawabooks.com/n/n59fb9ad18d3a 楽しみですね。伴名練「彼岸花」みたいな見たことがない怪物にぶち当たってバラバラにな…

ハイスピード剣戟シューティングボスラッシュSFアクションゲーム『Furi』について

フランスのインディーゲームスタジオThe Game Bakersによるアクションゲーム『Furi』の話をする。高難易度のアクションゲームとして素晴らしい完成度の傑作。 Steam、PS4、Switch、Xbox Oneで発売中。 日本語対応で吹替付き。翻訳に不備は無いけれど、たまに…

日記(姓名の順番とONE PIECEの呼び名)

日本語と英語では姓名の表記順が異なるが、自分はこの事を、なんというか「実感」できていない気がする。たとえばAppleの創業者をジョブズと呼ぶときに、そこに名字を呼び捨てにしたことのふてぶてしさを感じているだろうか、むしろ下の名前を呼び捨てにした…

『ドロヘドロ(全巻)』『大ダーク(~2巻)』感想

『ドロヘドロ』のアニメがよかったので林田球先生の漫画2つ読みました。 『ドロヘドロ』漫画全23巻 色々好き勝手やった上で大団円!みたいに終わった。凄い。心と能井の顔がよすぎる。魔法使いと人間の因縁が言うなればテーマだけれどそこにバイオレンスと…

「少女終末旅行(漫画全巻)」「シメジシミュレーション(1巻)」感想

つくみず先生の漫画2つを読みました。 『少女終末旅行』 ポストアポカリプスの階層世界を少女二人で上へと向けて旅する作品。他の人がほとんどいない無機質でモノクロな世界、ゆるい絵柄、遊び性と哲学性の交わる詩的な感性、作品の全てが居心地が良い。最…

「父たちの時間」(長谷敏司)

長谷敏司による短編集「My Humanity」収録の中編「父たちの時間」を再読した。 “二○六○年代の日本、原子力発電所の放射線遮蔽用に開発されたナノマシンが自然界に漏出、驚異的な速度で独自の進化を遂げていきます。その絶望的な事態を食い止めようとする男の…

森岡正博「生まれてこないほうが良かったのか? ―生命の哲学へ!」感想

反出生主義について歴史的な全体像が示されていて、「生まれてこないほうが良かった」という考え方が人類の文化において繰り返し取り沙汰されてきたことがわかり、大変面白かった。 「私は(おまえは)自身のためには生まれてこないほうが良かったのではないか…