言の葉の書き上げ

書き上げました

「少女終末旅行(漫画全巻)」「シメジシミュレーション(1巻)」感想

つくみず先生の漫画2つを読みました。

少女終末旅行

ポストアポカリプスの階層世界を少女二人で上へと向けて旅する作品。他の人がほとんどいない無機質でモノクロな世界、ゆるい絵柄、遊び性と哲学性の交わる詩的な感性、作品の全てが居心地が良い。最高。この作品が存在してよかった。

あと、当然だけど、原作を読んで初めてアニオリだと気づいたシーンがあって、「寺院」の暗やみでのくだりはアニオリと知って驚いたし、「電車」の“時間に速いとか遅いとかないから” の後の “いや、あったっけ?”とか、いずれも気が効いていて、アニメが本当に丁寧に大事に作られていたことがわかった。

公式アンソロジーも2つとも読んだけどどっちも原作者が一番好き勝手やっててよかった。

 

『シメジシミュレーション』1巻

中学で押し入れに引きこもって頭にシメジが生えた少女しじまが高校生活を送る話。あらゐけいいち『日常』的な、シュールかわいいコメディ。

世界の様子が奇妙でよい。自宅の周囲はすすきかねこじゃらしの草原が広がっていて、変な形の岩があったり、4本の電柱がお互いだけで完結して他にはどこにもつながっていなかったりする。そんな自宅周囲で主人公の姉は電波な実験を続けている。実験が成功するとさらに奇妙な夢の世界へ。

夢の世界で部屋の中に1個の巨大なリンゴだけがあるのを見て、私が思い出すのはやはり『裏世界ピクニック』。謎の草原、奇妙なオブジェクト、暗い黒髪と明るい金髪……

(チトとユーリが裏世界でくねくねと戦うところ見たい……)

(部屋に巨大な岩といえばマグリットの絵画『記念日』だけど、柞刈湯葉の短編「記念日」はまさにそういう景色からスタートする。「記念日」を収録する短編集『人間たちの話』の表紙はあらゐけいいち。ずっと積んでるのでそろそろ読む。)

話を戻す。高校の様子も楽しい。スコップを持った先生が4コマぶち抜いて無意味さについて話すシーン好き。あと2コマぶち抜いてるはねエプロンのファミレス店員さんも好き。

チトとユーリもちょこちょこ出てきてうれしい。

2巻も楽しみ。

“公務員なんてみんな トカゲみたいなものだ…”

 

以上。