言の葉の書き上げ

書き上げました

ハイスピード剣戟シューティングボスラッシュSFアクションゲーム『Furi』について

フランスのインディーゲームスタジオThe Game Bakersによるアクションゲーム『Furi』の話をする。高難易度のアクションゲームとして素晴らしい完成度の傑作。

Steam、PS4、Switch、Xbox Oneで発売中。

日本語対応で吹替付き。翻訳に不備は無いけれど、たまに漢字が中国語っぽい書体になっていて、かっこいい。

 

紹介の参考リンクを張っておきます。

公式トレイラー

https://youtu.be/iMuHjg5oA-s

 

PlayStation.Blog

https://blog.ja.playstation.com/2016/08/30/20160830-indies/

 

ファミ通

https://www.famitsu.com/news/201611/15120586.html

 

4Gamer.net

https://www.4gamer.net/games/282/G028219/20161118041/

 

もぐらゲームス

http://www.moguragames.com/entry/furi-indiegame/

 

これは制作者の文章(日本語)で、それほどのネタバレはないけどプレイ後に見るといい。

Made With Unity

https://madewithunity.jp/stories/furi/

 

 

天空に浮いた監獄に捉えられた主人公は、ウサギの仮面を被った謎の男の手引きで脱獄を開始する。本作にいわゆる雑魚敵や謎解き、探索要素は無く、立ちはだかるボスを一体ずつ順番に全て倒して自由の身となることを目指す。

“看守がポイントだ。あいつを倒せば自由になれる。”

 

戦闘はかなりの高難易度。シューティングとアクションが入り乱れたもので、主人公は相手の射撃弾幕を緊急回避でかわしたり、近接攻撃のタイミングにあわせて受け流し(いわゆるパリィ)をしたりつつ、攻撃後などの隙をついてこちらも射撃と近接攻撃で相手の体力を削っていく。体力が無くなってダウンした相手に近づくと相手の近くから逃げられなくなる近接フェーズに移行。近接攻撃で再度体力を削りきると相手の残機がひとつ減り、攻撃パターンが変化、再びシューティングアクションフェーズが始まる。これを繰り返し残機を全て削れば勝利となる。

(敵がダウン中や特殊な攻撃中で光っている時は無敵時間であること、実は受け流しは近接攻撃だけではなく敵弾に対しても可能であることは覚えておくといいです。)

主人公には残機3が与えられている。主人公の体力が無くなり残機が減ると、相手の体力が全回復する(残機はそのまま)。近接フェーズまで行っていたとしてもその前のシューティングアクションからやり直し。主人公が残機3を使い切るとゲームオーバーとなり、そのボスの初め、残機が全快した状態からやり直しとなる。何度も言うが本作は高難易度で、相手が新しい攻撃パターンになる度に大抵一度はこちらの残機を削られるし、そのまま手も足も出ずにゲームオーバーとなることもざらにある。レベル上げや装備の変更、アイテムの使用はないため、プレイヤーが腕を上げない限り勝利はない。何度も再挑戦し、相手のハイスピードな攻撃を少しずつパターン化して対処していき、体力を削り切ったときの喜びはたまらない。

“卓越とは技ではない 単なる慣れだ 繰り返して行うことで体得する”

 

本作では同じボスに何度も負けて再挑戦することとなるが、そこでゲームデザインとして重要となる“プレイヤーのモチベーションを損なわないための仕組み”が本当にマジで他に無いくらいに傑出して優れている。

まず敗北してゲームオーバー画面から再戦するまでに、ロードが一切ない。ボタンを押した次の瞬間にはボスとの戦闘が始まる。このことの感動がどれほど伝わっているかわからないが、私は本作の前にSEKIROをプレイしており、この鬼畜難易度の死にゲーアクションにおいて裏ボス怨嗟の鬼を倒すに至るまで最大の敵は敗北の度に見せられるロード画面であると言ってもよかった。(余談だが、SEKIROのロード画面のプログレスバーが毎回急にビョンと増えるのは、思ったより短く終わったと感じさせるためにわざとそうなるようにしているのではないかと思う。) それが、Furiには、無い。この感動。ゲームオーバー画面では謎のウサギ仮面こと“ボイス”がボスごとに異なるセリフで励ましてくれるし、もう少し色々やってみようという気持ちになる。

次に回復のシステムについて。こちらの残機が減った際に相手は体力が全回復するが、相手の残機を削った際は、こちらの体力が全回復し、更に残機も1回復する(3以上にはならない)。これによって次の新しい攻撃パターンに対して最大の体力で2以上の残機を持って挑むことができ、たとえ負けてゲームオーバーになるとしてもなにもわからないまま即死するのではなく、いくらかの戦闘経験を持ち帰って次に活かすことができる。また戦闘中の回復手段としてはたまに出てくる黄色い回復弾があり、その他では近接攻撃の受け流し(パリィ)に成功すると体力が0.5回復する。これがあるため、相手の近接攻撃のパターンを掴むことで戦闘がぐっと有利になり、不可能に思えた勝利が一気に近づいてくる。

このような、諦めさせず再挑戦を誘う仕組みがあることで、強いボスに対して攻撃パターンをつかんで攻略していく喜びが確かに得られること、ここにこの作品の大きな魅力がある。

 

最後にビジュアルと音楽について簡単に。サイケデリックでSF的なデザインを基調としてまとまっており、全体的にハイセンスでとても格好良い。キャラデザは『アフロサムライ』の岡崎能士。最初のボス“チェーン”のセンスからトばしていて、残機を削ったときの演出には痺れた。音楽はエレクトロ/シンセウェイブ系の7人のアーティストが参加(Carpenter Brut, Danger, The Toxic Avenger, Lorn, Scattle, Waveshaper, Kn1ght)。楽曲はボスごとに異なり、敵の残機が減ると曲調が変わるところもある。

 

『Furi』はセンスがとにかく尖っている。装備やアイテムを整えるメニュー画面は存在せず、弾幕シューティングと剣劇アクションの高速戦闘体験のみに強いフォーカスを当てている。鋭く研ぎ澄まされた戦闘に、しかし気持ちよく遊ぶ為の細やかな配慮を施していることで、本作は唯一無二の傑作となっている。

 

ところで、パリィが重要な他のゲームとしてはやはりSEKIROが挙げられるが、Furiの発売は2016年7月で、隻狼より3年早い。ちなみにFuriのディレクターEmeric ThoaはSEKIROやDARK SOULSのディレクター宮崎英高の大ファンである。本作を最後まで遊べばわかる。

 

以上。