言の葉の書き上げ

書き上げました

実話怪談読んでて百合見つけた

裏世界ピクニックからの流れで我妻俊樹や朱雀門出の実話怪談をいろいろ読むようになった。当然あんまり百合はない。百合を求めて読んでもない。けれど我妻俊樹『奇々耳草紙 呪詛』収録の「女と右目」は間違いなく百合だった。

間違いなく百合なので、読みたい人は戻って読んでください。

 

“当時私立の学校に電車で通っていた富士子さんは、毎朝同じ電車の同じ車両で、いつも近くに立っている女の人のことが気になっていた。

 季節や天候にかかわりなくベージュ色の薄いコートばかり着ているその人は、いちおう美人なんだけれど髪がぼさぼさで、化粧っ気のない肌もとても荒れているように見えた。”

 

年の差百合アンソロジーではなく、実話怪談である。百合に狂わされているので、1冊60篇ほど入っている怪談本中にたまにこういう記述を見つけては「おっ?」となるのだけど、その後は大抵えらいことになってしまい、「まあ、はい……百合を期待したこっちが狂ってるし……」となる。怪談なのでえらいことになるのが正しいし、どんどんえらいことになってほしい。「女と右目」も当然しっかりえらいことになるのだけど、その怪談としての筋の中で、感情を向け、“ギフト”を受け取り、それが後も残り続けるという、百合としての筋が奇跡的にギリギリ生き残る。それどころか“質感”の描写がバンバン投入されて、「嘘だろ嘘嘘嘘???!!!!??!!」となってしまった。

 

わたしは何をやっているのだろう?

 

『呪詛』はまだ途中ですが、2ページにも満たない「シンク下」が素晴らしい疾走感でした。「庭の石に浮かぶ顔」のラストもキレている。

実話怪談は間違いなく面白い。

 

裏世界ピクニックからホラー方向に拡張する企画も色々あったらよいのでは、と思います。

 

以上。