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日本SFの臨界点[恋愛篇][怪奇篇]の感想ツイートのまとめ

ツイートを貼り付けただけです。

 

既に亡くなってる作家のそれほど有名でもない本を今更買ってもしょうがないのでは、という気持ちが読む前にはありましたが、日本SFの臨界点[怪奇篇]を読み終わって普通に中原涼『笑う宇宙』単行本をポチりました。筒井康隆言うところの「人間嫌いの資質」が効いた作品をもっと読んでみたい。

 

石黒達昌「雪女」の文体の透徹さ、没入感、そしてラストに至るまでの切れ味は、伴名練によるアンソロジーの締めとして圧巻のものでした。

 

[恋愛篇]の大樹連司「劇画・セカイ系」にざっくりやられた後は名倉編「異セカイ系」を読むとヤバいバランスが発生して脳によいのではないか。

 

扇智史「アトラクタの奏でる音楽」読んでめちゃめちゃええやんけとなって、ふと百合SF特集を読み返してみたらガイドでばっちり紹介されてますね。 今回が著者初読でしたが、頭の中ではもう完全に著者の作品集が出版るものになっており、楽しみです。

 

日本SFの臨界点であと印象的だったのは藤田雅矢「奇跡の石」、光波耀子「黄金珊瑚」、谷口裕貴「貂の女伯爵、万年城を攻略す」ですね。

 

適切な印象じゃない気がするけれど“幻の第一世代SF作家”の名前が“光波耀子”で作品名が「黄金珊瑚」、というのは、5ページに渡る紹介も相まって凄いインパクトがあった。SCPの報告書的な読み味で静かな侵略ホラーが描かれ、最後はきっちりと落としてくる。“珊瑚”の不気味で壮麗なイメージが強烈。

 

谷口裕貴「貂の女伯爵、万年城を攻略す」は、残酷で鮮やかな獣人(と人間)の世界の広がりが最後まで惜しげもなく詰まっていて、とにかく面白い。 紹介にあった「獣のヴィーナス」の連作も面白そう。